尾瀬縦断で見える野鳥の棲み分け・“尾瀬沼野鳥便り”の3年を振り返る①(2013.11.01.) [尾瀬沼より]

沼山峠~尾瀬沼~見晴~鳩待峠間を歩く尾瀬縦断探鳥は私の好きなルートの一つ。
これからも何回も歩くと思います。
そのコースの標高と環境の変化を図にしてみました。

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標高1400mの尾瀬ヶ原の湿原、尾瀬沼の1660m、約1800m近くになる沼山峠や白砂峠越え、更に足をのばせば2000m超える燧ケ岳や至仏山と環境はいろいろに変わる。
その為、広葉樹林帯、亜高山針葉樹林帯、に加え広々した湿原、更には尾瀬沼、ハイマツ帯とそれぞれの環境にあわせて色々な野鳥との出会の機会がある。

そのような尾瀬を縦断したその時々の野鳥の様子は3年間で10回近くのレポートでご参照頂けると思います。

その中から私の特に思い出に残るいくつかの野鳥との出会いを取り上げたいと思います。
上記の図で言うと右側から、沼山峠・尾瀬沼・白砂峠・尾瀬ヶ原を経由して鳩待峠に抜けるルートに加えて至仏山に立ち寄るルートをイメージしてご覧いただければと思います。

メボソムシクイ
尾瀬を歩いていて至る所でメボソムシクイのさえずりが聞こえてくる亜高山針葉樹林帯の代表選手。
“ゼニトリ ゼニトリ ゼニトリ” の聞きなしでも有名。
私流の聞きなしは前にもお伝えしている“これから これから これから”。
尾瀬の木道を歩いても歩いても “これから・・” と背中を押してくる感じに聞こえてくる。
夏が過ぎて多くの野鳥が地鳴きに変わる頃でも最後までさえずりを聞かせている主だ。
そのさえずっている姿を初めて目の前にした時の一枚がこちらの写真。

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ルリビタキ
こちらもメボソムシクイと同様、亜高山帯の代表選手。
こちらもさえずりがまだ区別できない頃、目の前でさえずっているルリビタキを初めて確認した時の一枚だけにいつまでも忘れない場面となる。
私流の聞きなしで “もうすぐだ~”と聞こえてくる。メボソムシクイの “これから・・” に対抗するように尾瀬の峠を歩いている時、疲れを慰め励ましてくれるように聞こえる。

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キクイタダキ
オオシラビソやコメツガ等の亜高山針葉樹林帯を歩いていると頭上で鳴くキクイタダキの声をよく聞く。
線香花火が弾けるようなイメージで細い独特のさえずりだ。
声のする木の枝をじっと見ているとその姿を見るのはそう難しくない。
が動きが早いので写真に撮るのは容易でない。
それだけに至近距離に下りてきた時は正直ビックリ、あわててシャッターを押した。

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ミサゴ
尾瀬沼畔でゆっくりしているとミサゴが上空にでてきて旋回を始め、時にはホバリングも見せる。
そして足から湖面に飛び込んで魚をとる瞬間を見る人は少なくないと思う。
ミサゴの魚を獲る瞬間は思いの他素早く私の腕ではカメラがついていかない。いつもピンボケでおまけに手振れぎみ。
でも魚を捕まえて飛び上がるその力強い羽ばたきにはいつも感心させられる。

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ハリオアマツバメ
こちらは尾瀬沼の湖面すれすれに2羽のハリオアマツバメが駆け抜けた時の一枚。
すぐ近くをすごいスピードで通過していくときの迫力は大変なもの。
尾瀬を歩いていると峠の上空やまた尾瀬ヶ原の木道を歩いている時も突然ものすごい速さで上空を駆け抜ける場面に何回も遭遇する。

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カッコウ
尾瀬沼の朝は野鳥の声でとてもさわやか。ホトトギスやカッコウの声で目覚める人も多いと思う。
木道を歩いて“カッコウ カッコウ”と森に響く声を聞いた時近くの木の上を見るとその主を見かける事が多い。
こちらの一枚も浅湖湿原を歩いている時の一枚だが尾を大きく振りながら青空に向け声を張り上げていた。

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ミソサザイ
尾瀬の森は沢が多く沢沿いの木道ではあちこちでミソサザイの声が聞こえてくる。
沢から聞こえる水の流れに負けることない大きな声が響く。これでもかという位大きな口をあけて息の続く限りのさえずりは、まるでオペラ歌手が森の中で朗朗と歌い上げている感じにも映った。

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コマドリ
コマドリのきれいな鳴き声は尾瀬の森にはとてもよく似合う。
姿を見ようといつも思うが中々難しい。それだけにその姿に出会った瞬間は鮮明に覚えている。この写真もさえずるコマドリの姿を初めて見た時の一枚で、枝かぶりは気にはなるが私にとっては思い出の一枚となった。

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クロジ
クロジは名前の通り黒っぽくやや薄暗い所で見る。が、時に朗朗とさえずるクロジは低木の枝に止まっている事が多い。
こちらもまた初めてさえずるクロジの姿を目の前で見たときの一枚で、やっぱりこのさえずりがクロジの声だったのだと確認できた瞬間。

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コルリ
ブナ林に入るとコルリやキビタキの声をよく耳にするように思う。コルリは声はすれどなかなか姿を見せてくれない恥ずかしがり屋の代表種かも。
姿を見せたときその姿からは清楚さが伝わってきていつも青空が広がっているように私には感じるから不思議。
いろいろな鳴き方で楽しませてくれるが時にコマドリと間違えやすい声でも楽しませてくれる。

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オオジシギ
5~6月には尾瀬ヶ原の湿原を歩く時はオオジシギの出現がいつも楽しみになる。
はるか遠くの木の天辺にちょこんとその雄姿をみせる様は広々とした湿原を一層広く見せている。
突然上空での迫力あるデイスプレイを見せる事もある。
朝夕の辺りが薄暗くなる頃も見晴十字路の湿原に出て見るとオオジシギの声がよく聞こえる。
暗い中オオジシギの鳴き声を便りにその姿を探そうとするが中々見えない。それも声だけがあちこち移動するように聞こえてくるから面白い。いつも時間の経つのを忘れてしまう。

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ホオアカとノビタキ
尾瀬ヶ原の湿原を歩いていると上空ではヒバリがさえずり地上近くの草木の上をあちこちしているノビタキとホオアカを多くの人が見ていると思う。
そのさえずりも広がる湿原にふさわしく長閑。
ノビタキやホオアカの写真を撮るチャンスは多いが、より尾瀬を感じさせるシャッターチャンスを期待しながら木道を歩いている。四季折々の花の上でさえずる姿に出会うと自然とカメラのシャッターを押している自分がいる。

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カヤクグリ
燧ケ岳や至仏山に登るとイワヒバリやカヤクグリと出会う事がある。鳴き声はどちらも特徴的でいかにも高山に似合う。
いつもカメラを準備するとすぐ移動してうまく写真には納まらない事が多いがこの時は暫く梢でさえずっていて写真を撮らせてくれた。

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ホシガラス
ハイマツ帯に行くとホシガラスにも出会えることが多い。写真はやはり至仏山の中腹でのもの。名前の通りカラスの様に黒い模様に白い星が体中にあって飛翔の姿も尾羽の先が白く結構格好いいので好きだ。
秋になるとホシガラスも山を下がっていき尾瀬沼の周辺の森にもよく立ち寄るので見かけることがある。

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これまで尾瀬縦断探鳥で出会える野鳥からほんの一部の出会いを振り返ってきました。
尾瀬縦断では花や樹木の自然の変化がありその環境により出会える野鳥も変わってくる事がわかります。野鳥の観察種も多いコースの一つと思います。

ここで取り上げた野鳥の多くは春から秋まで尾瀬を歩く度に出会える夏山の代表種ともいえます。またその多くは冬期の神奈川での探鳥会でも出会える野鳥が夏は尾瀬で出会えるのがうれしい。
また季節が変わると同一種でもその姿や鳴き声も変わり、さらにその季節だからこそ出会える野鳥もあって探鳥の興味は尽きません。

次回の2回目では “野鳥の繁殖も盛んな尾瀬”として幼鳥と子育てをまとめて見ようと思います。

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